帰宅部全国大会

先輩は口籠る。


ふっと口元に笑みを浮かべると、手慰めにカップの淵を親指でなぞった。


「思い出し笑いをしながら帰る君の姿は、少しだけ格好良かったのだがな」


「先輩……」


それ違います。思い出し笑いじゃなくてニヤけてたんです。


あれ? でもこれって、脈ありってことじゃないか?


だって先輩今、俺のこと格好良いと言っていたし、少なくとも俺のことを気持ち悪い男だとは思っていないはずだ。


暗に引き留めていると見ていいんだよな? つーことは、俺のことを気に行っているor気になっているというわけだから……。


このまま攻略していけば、その内先輩落とせるんじゃね?


頭の中で分岐点が浮かんでいる。


→『もう少しだけ、俺に時間をくれませんか?』
 『先輩との帰宅、俺本当に楽しかったです!』

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