帰宅部全国大会
もしかしたら先輩は、俺の雰囲気だけで感づいていたんだろう。
帰宅道を極めた帰宅神。帰宅のエキスパートである冬月先輩に、隠し事など出来るわけなかったんだ。
上手く誤魔化してたと思ったんだけどなぁ。
俺が家に帰っていないことを―――
電車から降りたらマンションはすぐそこだ。
駅から徒歩五分。なんとも高リッチな物件だ。
もしかしたらまた妨害者がいるんじゃないかと警戒したが、流石に最寄駅にまでには待ちかまえていなかった。
というかいたら引くわ。俺達のマンション知ってるってわけだし、ストーカーかよ。
あっけなくマンションに到着。ちなみに部屋は別室で隣同士だ。
鍵を差し込んで左に捻ると、ガチャンッと鍵が外れる音がした。