帰宅部全国大会

先輩は立ち上がると、スクール鞄に手をかける。


ま、まさか、先輩の言う活動って……。


「海斗、君の家はどこだ?」


やっぱ帰宅するんすね。あははははっ……。






断るタイミングを完全に見失い、先輩の帰宅に付き合うことになった俺。


幸い先輩と同じ最寄駅で、先輩家と俺ん家は距離もさほど離れていない。


まあ寄り道ついでに付き合うかと諦めて、先輩の横をきっちり確保した。


女子と二人っきりで帰るなんて生まれ始めての出来事で、正直嬉しいと言うか「うぉっしゃー!」と心の中では盛大なガッツポーズを決めている。


明日から変な噂が立ったら困っちゃうなー。俺と先輩はそんな関係じゃないのにー。


……うひひっ。


邪な感情が表情に表れて、口元がニヤけてしまう。
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