シュガリーポイズン


耳元で囁かれた言葉に俺は別に何の焦りも感じなかった。

顔色一つ変えず黙って、塾を出た。

塾帰りのまばらな人混みに紛れると片桐も当然の如く俺の横で歩いている。


「おまえ、見てたの?」

「うん。ガラス越しから。生でAVみてるみたいだった」

「そっちが口止め料とるならこっちは見物料とるぞ」

「えー!別にあたし誰かに言うつもりも口止め料貰うつもりもないよー?!」

片桐はちょっと傷ついた表情をした。
その顔はどれだけ化粧で誤魔化しても普段の10倍は子供っぽかった。


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