ビロードの口づけ
15.襲撃
クルミの部屋を出たジンは、辺りをぐるりと見渡した。
部屋の中で微かな足音を聞いた。
庭の中には何者かの気配が潜んでいる。
そよそよと静かな夜風がジンの髪を揺らし、鼻先を覚えのある獣の匂いがかすめた。
匂いを辿りながらジンは、風上に向かってゆっくりと歩を進めた。
獣は匂いで個体を識別する。
獣によっては複数の人型を持っている者もいるので姿形は当てにならないからだ。
ジンはきれいに刈り込まれた背の低い庭木の脇を抜け、丸い芝の庭に入る。
中央の池には、所々に花をつけた睡蓮が浮かんでいた。
池を囲む円庭の向こうには、三角屋根の東屋があり、その両脇には少し背の高い木が植えられている。
池を迂回して東屋の手前で立ち止まったジンは、木の陰に向かって声をかけた。
「出てこい、ザキ。いるんだろう?」
木の影が揺らぎ大男が姿を現した。
部屋の中で微かな足音を聞いた。
庭の中には何者かの気配が潜んでいる。
そよそよと静かな夜風がジンの髪を揺らし、鼻先を覚えのある獣の匂いがかすめた。
匂いを辿りながらジンは、風上に向かってゆっくりと歩を進めた。
獣は匂いで個体を識別する。
獣によっては複数の人型を持っている者もいるので姿形は当てにならないからだ。
ジンはきれいに刈り込まれた背の低い庭木の脇を抜け、丸い芝の庭に入る。
中央の池には、所々に花をつけた睡蓮が浮かんでいた。
池を囲む円庭の向こうには、三角屋根の東屋があり、その両脇には少し背の高い木が植えられている。
池を迂回して東屋の手前で立ち止まったジンは、木の陰に向かって声をかけた。
「出てこい、ザキ。いるんだろう?」
木の影が揺らぎ大男が姿を現した。