ビロードの口づけ
 ライはイタズラっぽく笑って、クルミにチラリと視線を送った。


「クルミ様から君の匂いがしたよ。もしかしてお邪魔だったかな?」


 ジンとキスをしていた事を見透かされたようで、クルミは俯いた。
顔が熱い。
 ジンはおかまいなしに、しれっとして言葉を返す。


「邪魔だ。冷やかしに来たならとっとと帰れ」
「まぁまぁ。急いで知らせたい事があるんだよ」
「何だ」
「ザキが仲間を集めてる」
「ふーん。あいつ仲間なんていたのか」

「烏合の衆だけどね。あいつの口車に乗せられる頭の悪い奴もいるって事だよ。個々の戦力は大したことないだろうけど、どれだけ数が集まるかは分からない。明日あさってあたり、ヤバイかもしれないね」


 ジンは難しい表情で腕を組み、黙り込んだ。
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