ビロードの口づけ
 クルミは再びおずおずとライに問いかける。


「ザキって、ゆうべの獣ですか?」
「えぇ。ジンを倒してクルミ様を奪おうと考えているようです」


 笑顔でサラッと肯定されて、背筋が一層冷たく感じる。
 ジンがおもむろにライに尋ねた。


「おまえ、動けるか?」


 ライはニッと笑って片目を閉じた。


「そう言うと思って、少し早いけどカイト様には暇を頂いたよ。元々約束の日までの契約だったしね」


 約束の日は三日後に迫っているらしい。

< 132 / 201 >

この作品をシェア

pagetop