ビロードの口づけ
 クルミに撫でられても嫌がる事なく、しっぽの先だけをゆっくりと上下に振っている。
 外は次第に明るくなってきた。

 もう少しだけこの感触と温もりに浸っていたくて、クルミは獣の身体に頬を寄せた。
 獣は顔を上げ、クルミの頬をペロリと舐めた。
 そしてごそごそと夜具の中に潜り込んでいく。

 身体に沿うようにして奥に入っていくので、毛並みが肌を撫で、クルミは笑い声を上げた。


「やだ、くすぐったい」


 奥で反転した獣は、身体の上にのしかかった。
 足や腹をペロペロと舐められ、クルミはたまらず笑い転げる。

 逃れようと身をよじった時、いきなり胸を掴まれた。


「きゃあっ!」

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