ビロードの口づけ
クルミがモモカに身支度を調えてもらっている間、ジンは朝食を持って自分の部屋に戻った。
ライの分も考慮してコウがいつもより多めに都合してくれている。
ジンが部屋に入ると、奥の寝室からライが顔を出した。
完全な人型になってジンの寝間着を着ている。
侯爵家で用意してくれた物だが、ジンは一度も袖を通した事がない。
獣はよほどの事がない限り、人型のまま眠る事はないからだ。
朝食の乗ったトレーをテーブルに置き、二人で並んでソファに座る。
ジンが差し出したフォークを受け取り、ライがニヤニヤと笑った。
「朝帰りとはうらやましいね」
「いつもの事だ。明け方までクルミの部屋を警護している」
「ゆうべはそれだけじゃないだろう? 君の匂いが変化しているよ」
「分かっているなら訊くな」
人の女と交わって能力を得た獣は、匂いに変化が現れる。
獣同士ではすぐに分かるので、掟を破った者はすぐに発覚するのだ。
ジンと同じ皿をつつきながら、ライがうらやましそうにため息をついた。
ライの分も考慮してコウがいつもより多めに都合してくれている。
ジンが部屋に入ると、奥の寝室からライが顔を出した。
完全な人型になってジンの寝間着を着ている。
侯爵家で用意してくれた物だが、ジンは一度も袖を通した事がない。
獣はよほどの事がない限り、人型のまま眠る事はないからだ。
朝食の乗ったトレーをテーブルに置き、二人で並んでソファに座る。
ジンが差し出したフォークを受け取り、ライがニヤニヤと笑った。
「朝帰りとはうらやましいね」
「いつもの事だ。明け方までクルミの部屋を警護している」
「ゆうべはそれだけじゃないだろう? 君の匂いが変化しているよ」
「分かっているなら訊くな」
人の女と交わって能力を得た獣は、匂いに変化が現れる。
獣同士ではすぐに分かるので、掟を破った者はすぐに発覚するのだ。
ジンと同じ皿をつつきながら、ライがうらやましそうにため息をついた。