ビロードの口づけ
兄がソファから立ち上がり、クルミに歩み寄ってきた。
優しく微笑んでクルミの頬に手を添える。
「クルミ、父さんが僕を認めてくれたよ。ようやく君を僕の花嫁にできる。子どもの頃から君だけを見てきた。これからも君だけを大切にするよ」
「お兄様……」
「お兄様じゃなく、これからは名前で呼んでおくれ」
愛おしげに頬を撫でる手を振り払うように、クルミは激しく首を振った。
「お兄様。私……」
ジンと交わった自分は、兄の花嫁になる資格がない。
元より兄の事は兄としか思えなかった。
それは今も変わらない。
そして自分が生涯愛を捧げようと思ったのはジンなのだ。
それを伝えなければ——。
優しく微笑んでクルミの頬に手を添える。
「クルミ、父さんが僕を認めてくれたよ。ようやく君を僕の花嫁にできる。子どもの頃から君だけを見てきた。これからも君だけを大切にするよ」
「お兄様……」
「お兄様じゃなく、これからは名前で呼んでおくれ」
愛おしげに頬を撫でる手を振り払うように、クルミは激しく首を振った。
「お兄様。私……」
ジンと交わった自分は、兄の花嫁になる資格がない。
元より兄の事は兄としか思えなかった。
それは今も変わらない。
そして自分が生涯愛を捧げようと思ったのはジンなのだ。
それを伝えなければ——。