ビロードの口づけ
父は幾分表情を緩め、ジンに要求した。
「君が獣王であるという証は?」
少し振り向いたジンに、後ろからライが封書を手渡した。
受け取った封書をジンはそのまま父に差し出す。
「私にはそれが証になるという確証はありません。けれど前獣王から受け継いだ物はそれだけです」
手にした封書を父は裏返した。
上着の内ポケットから取り出した色あせた封書を同じように裏返して見比べている。
封書は赤い蝋(ろう)で封印されていた。
蝋の上には刻印が押されている。
それを見比べているのだろう。
父は頷いて封書を内ポケットに戻した。
「君が獣王であるという証は?」
少し振り向いたジンに、後ろからライが封書を手渡した。
受け取った封書をジンはそのまま父に差し出す。
「私にはそれが証になるという確証はありません。けれど前獣王から受け継いだ物はそれだけです」
手にした封書を父は裏返した。
上着の内ポケットから取り出した色あせた封書を同じように裏返して見比べている。
封書は赤い蝋(ろう)で封印されていた。
蝋の上には刻印が押されている。
それを見比べているのだろう。
父は頷いて封書を内ポケットに戻した。