ビロードの口づけ
結局その日のうちにジンは迎えに来なかった。
約束の日を終え、今後の事で色々と忙しいのかもしれない。
なにしろ彼は王なのだ。
今日は庭を散歩しただけだったが、明日はコウに手ほどきを受けて花の世話をしてみようとクルミは思った。
灯りを消して横になったと同時に、寝室の窓がコツコツと音を立てた。
反射的にクルミは身体を起こす。
月明かりに白く浮き上がった窓に見慣れた影があった。
ベッドから下りて裸足のまま駆け寄り窓を開く。
クルミが声をかけるより先に、ジンはクルミを抱き寄せ口づけた。
クルミは観念して目を閉じ、それに応える。
少しして唇を離したジンが早口で告げた。
「迎えに来た。行くぞ」
「え? 今から?」
「当たり前だ。来ると言っておいただろう」
当然とばかりに言い切るジンに、少し呆れる。
よく見るとジンは下半身が黒い毛に覆われた半人半獣の姿だった。
よほど急いで来たらしい。
約束の日を終え、今後の事で色々と忙しいのかもしれない。
なにしろ彼は王なのだ。
今日は庭を散歩しただけだったが、明日はコウに手ほどきを受けて花の世話をしてみようとクルミは思った。
灯りを消して横になったと同時に、寝室の窓がコツコツと音を立てた。
反射的にクルミは身体を起こす。
月明かりに白く浮き上がった窓に見慣れた影があった。
ベッドから下りて裸足のまま駆け寄り窓を開く。
クルミが声をかけるより先に、ジンはクルミを抱き寄せ口づけた。
クルミは観念して目を閉じ、それに応える。
少しして唇を離したジンが早口で告げた。
「迎えに来た。行くぞ」
「え? 今から?」
「当たり前だ。来ると言っておいただろう」
当然とばかりに言い切るジンに、少し呆れる。
よく見るとジンは下半身が黒い毛に覆われた半人半獣の姿だった。
よほど急いで来たらしい。