ビロードの口づけ
 この疑問をジンはあっさりと解決した。


「オレは獣の森育ちだからな。まわりは獣だらけだ。詳しくもなる」


 クルミはゴクリと生唾を飲み込んだ。

 知りたい。

 更なる欲求に突き動かされ、クルミは窓から身を乗り出してジンの両肩を掴んだ。


「教えてください。獣の森と獣社会の事」
「そんなもの、本でも読めばいいだろう」


 ジンは面倒くさそうにクルミの手を払いのけた。


「本にはあまり詳しく書かれていません。実際に獣社会を知っているあなたから教えて欲しいんです」
「知ってどうする」
「身を守るのに役立つかもしれません」
「非力で他人任せのあんたに役立つとは思えない」

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