ビロードの口づけ
図星すぎてクルミは一瞬言葉を飲み込む。
それでも——。
「知らない事を知りたいと思うのは当然ではないですか?」
「変わったお嬢様だな」
呆れたようにため息を漏らして、ジンはフッと笑った。
今まで見た事もないような優しい表情に、クルミは少しとまどう。
「オレもずっと森で暮らしていたのは子どもの頃だけだ。最近は町にいる事が多い」
教えてくれる気になったのか、ジンが語り始めた。
クルミはおずおずと尋ねる。
「森ではお母様と一緒に?」
「母親は物心ついた頃にはいなかった。みんなそうだ。獣に家族や同族に対する情はない。あるのは唯一無二の掟、弱肉強食。一番強い奴が頂点に立つ。そいつが獣王だ」
それでも——。
「知らない事を知りたいと思うのは当然ではないですか?」
「変わったお嬢様だな」
呆れたようにため息を漏らして、ジンはフッと笑った。
今まで見た事もないような優しい表情に、クルミは少しとまどう。
「オレもずっと森で暮らしていたのは子どもの頃だけだ。最近は町にいる事が多い」
教えてくれる気になったのか、ジンが語り始めた。
クルミはおずおずと尋ねる。
「森ではお母様と一緒に?」
「母親は物心ついた頃にはいなかった。みんなそうだ。獣に家族や同族に対する情はない。あるのは唯一無二の掟、弱肉強食。一番強い奴が頂点に立つ。そいつが獣王だ」