ビロードの口づけ
9.最高の香りと蜜の味
ジンの唇がまぶたから頬へ、そして唇へと移動する。
朝とは打って変わって優しいキスに流されそうになる。
これ以上は無理。
こんな風に流されていては、離れられなくなってしまう。
クルミは意を決して、ジンの胸に手を添え身体を突き放した。
「私が嫌いなら、こんな風に優しくしないでください」
そっと抱きしめられて涙をぬぐわれたら、慰められているようで虚しい期待をしてしまう。
俯くクルミの頬に、ジンはそっと手を添えて顔を上向かせた。
間近で見つめるジンの顔から眼鏡が消えている。
冷たい光を湛えたまま、ゆっくりと目が細められ、口元に笑みが浮かんだ。
徐々に鼓動が早くなる。
胸の奥で警鐘が鳴り始めた。
逃げろと本能が告げている。
けれど手のひらの温もりが、見つめる瞳が、身体を縛り付けているかのように動く事ができない。
朝とは打って変わって優しいキスに流されそうになる。
これ以上は無理。
こんな風に流されていては、離れられなくなってしまう。
クルミは意を決して、ジンの胸に手を添え身体を突き放した。
「私が嫌いなら、こんな風に優しくしないでください」
そっと抱きしめられて涙をぬぐわれたら、慰められているようで虚しい期待をしてしまう。
俯くクルミの頬に、ジンはそっと手を添えて顔を上向かせた。
間近で見つめるジンの顔から眼鏡が消えている。
冷たい光を湛えたまま、ゆっくりと目が細められ、口元に笑みが浮かんだ。
徐々に鼓動が早くなる。
胸の奥で警鐘が鳴り始めた。
逃げろと本能が告げている。
けれど手のひらの温もりが、見つめる瞳が、身体を縛り付けているかのように動く事ができない。