ビロードの口づけ
ショックのあまり混乱したクルミは彼に縋りつく。
「ジンが……。お母様が……」
「とりあえず部屋に戻りましょう」
コウは少し焦った様子でクルミの手を取り立ち上がらせる。
そして身体を支えながら部屋へ連れて行った。
部屋に戻ってソファに座らされ、コウが渡してくれたハンカチで涙をぬぐう。
コウは黙って傍らにたたずんでいた。
少しして気持ちが落ち着いてくると、先ほどのコウの様子が妙に引っかかった。
母とジンの関係にそれほど驚いている様子でもなく、取り乱したクルミがそれ以上口走るのを恐れたかのように部屋へ連れ戻した。
「コウは知っていたの?」
俯いたまま尋ねるが返事はない。
少しして絞り出すようなか細い声が聞こえた。
「すみません」
「ジンが……。お母様が……」
「とりあえず部屋に戻りましょう」
コウは少し焦った様子でクルミの手を取り立ち上がらせる。
そして身体を支えながら部屋へ連れて行った。
部屋に戻ってソファに座らされ、コウが渡してくれたハンカチで涙をぬぐう。
コウは黙って傍らにたたずんでいた。
少しして気持ちが落ち着いてくると、先ほどのコウの様子が妙に引っかかった。
母とジンの関係にそれほど驚いている様子でもなく、取り乱したクルミがそれ以上口走るのを恐れたかのように部屋へ連れ戻した。
「コウは知っていたの?」
俯いたまま尋ねるが返事はない。
少しして絞り出すようなか細い声が聞こえた。
「すみません」