指先から、愛
どうしたら、クールな表情を崩すことができる?
どうしたら、私の身体じゃなくて、中身を見てくれる?
私は彼の仮面を外すことなんて……できない。
もうこんな悲しく苦しい関係から、さよならしなくちゃいけない。
彼の心が手に入らなければ、その大きくて温かい手のひらは、いらない。
私の身体を這う、長くてキレイな指を払いのけた。
初めて抵抗した私をみて、眉間に皺が寄った。それだけで十分だった。
「貴方が好き。でも、貴方は違うでしょ? こういうことは好きな人にやるもの、よ?」
涙で滲む視界の先、仮面を剥ぎ取った素顔が初めて見えた。
笑みが消え、真剣な顔をした素顔の彼。