神貫いて輪廻を生きる、それを怖いと早く知れ
「…いい女!」
セイバーは、獲物を前に興奮した獣のように両眼をぎらぎらさせ、水中から脱した時の荒い呼吸は、興奮の副作用をなっている。
女はその細い四肢に鳥肌がたつのを感じた。
「ハッハァ、良い女!
お前いいなァ、欲しいなァ、美人で細いくせに独りで俺に対抗しようとしてやがる。
なんて愚かしい女だァ、ああ、あっはははははは!!」
セイバーは、地面に頭が付くのではないかと思うほど背をのけぞらせ、鋭くとがった顎を空に向けて大笑いした。
変態め。
そう心のなかで悪態をついて、女はなおも無表情のまま銃口をもう片方の肩に向ける。
今度は、肩と両足を仕留める気だった。
「ハハハハハハハ、お、おか、犯してエエエエエ!!」
肩の痛さに発狂したか、セイバーは口からだらしなく赤い下を垂らし、また猿のように両手をだらりとぶら下げた。
ジョン・ドリック・セイバー、懸賞金は一億ほど。
その犯行は約20年ほど前から、強盗殺人恐喝強姦、金と快感のためならなんでもあっさりやって退ける凶悪犯であった。
いつもいつも彼の犯行現場には沢山の遺留品が残されているのに、どういうわけか警視庁は今までまったく姿を捕まえられなかった人物である。