ぜんまい仕掛けの歌姫 ~儚唄~
私は手紙にこんなことを書いていた。
「アリーレへ 初めてあなたに手紙を書きます。
私はあなたに隠していたことがありました。一つは私が人形だということ。
15年前、私はカイルに作られました。歌うことしか能のなかった私にカイルは
心を入れてくれました。
そして、歴史は動き私はもう歌えない。もう壊れるしか他ならない人形になって
しまいました。
私はもう壊れてしまいます。その前に伝えたいです。
アリーレ、私はあなたのことが大好きでした―
もう伝えることのできない言葉をあなたに送ります リール」
壊れてしまっても、私はあなたのことが大好きでした。
もし、生まれ変われるのならば―
もう一度、巡り合えることを願います―
ぜんまい仕掛けの私が君に贈る言葉は―
儚く、悲しい私たちの唄―