ぜんまい仕掛けの歌姫 ~儚唄~
カイルは私に言った。
「お前が作られてもう15年。歴史が動き、お前のゼンマイはもう使えない。だからあと少しだけ、生きてほしい…」
今にも泣きそうな目で、カイルは私のぜんまいを巻いた。
なんで、そんな顔をするの?
私はカイルに聞いた。
「お前の歌がもう聞けないとなると泣きたくなるよ…」
そういいながら、カイルは私に新しい服をくれた。
「リール、もしも声が出せなくなったら此処においで…」
カイルはそう言い、私に微笑みかけた。