ぜんまい仕掛けの歌姫 ~儚唄~
ある日の朝―
私はゆっくりと動き始めた。歌を口ずさみながら着替える。
瞬間、予想もしなかったことが起きた。
「…!?」
―声がでない…
何度も声を出そうとしたが、声は出し方を忘れたかのごとく出なかった。
私は声をあげて泣いた
実際には声なんて出せていなかった。
だが、声が出せなかったからか涙がことごとくあふれた。
なぜ泣いているのだろう?
歌えないから?
話せないから?
壊れてしまうから?