ぜんまい仕掛けの歌姫 ~儚唄~
[アリーレにあってどうするつもりだ?]
頭の中で重々しい声が響く。アリーレに会ってからいつも響く声。
きっとこれは、自分の心の迷いなんだ。
機械の体だった私に、カイルが入れてくれた心
おそらく、もう使わないと思っていた心だった
―分からない、会って何がしたいのかは分からない
問いに、私は胸の裡で答えた
[分からないのにどうして会いに行く?会っても壊れる運命は変わらないぞ]
―そんなことは知っている!
私は胸の裡で叫んだ
―ただ会いたい、私はアリーレに会いたい!
伝えたい、この思いを
人形の私にある心
その心の中に存在していなかった感情が目を覚ました
カイルが教えてくれた感情
それは―恋