ぜんまい仕掛けの歌姫 ~儚唄~


[アリーレにあってどうするつもりだ?]


頭の中で重々しい声が響く。アリーレに会ってからいつも響く声。


きっとこれは、自分の心の迷いなんだ。


機械の体だった私に、カイルが入れてくれた心


おそらく、もう使わないと思っていた心だった

―分からない、会って何がしたいのかは分からない

問いに、私は胸の裡で答えた


[分からないのにどうして会いに行く?会っても壊れる運命は変わらないぞ]


―そんなことは知っている!

私は胸の裡で叫んだ

―ただ会いたい、私はアリーレに会いたい!





伝えたい、この思いを


人形の私にある心


その心の中に存在していなかった感情が目を覚ました



カイルが教えてくれた感情


それは―恋
< 9 / 13 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop