甘々ストロベリー*。




「私は無類のじゃがいも好きだけどさ、みんながそうとは限らない。
それに嫌いなのには理由とかもあるかもじゃん」



確かに、と思った。


沙耶が言うことはいつも筋が通っていて言い返せない。




「――でも、悪いことじゃないと思うよ。苺がイチゴを好きなことは」



皮肉ったように笑い、
沙耶はポテトの包装紙を無造作に引っつかんで
口の中に流し込んだ。



口の周りが塩だらけでなんだかだらしない。けど、それが沙耶だ。




「……別に私の名前が雨宮 苺(あまみや いちご)だからイチゴが好きな訳じゃないんだけど」



「うん、知ってる」



「何を」



「苺がそーいうウケ狙いだけのためにイチゴキャラを無理して演出してるんじゃないってことを」



「……」




間を置いてそんなわけないでしょ、
と返事をすれば、だから知ってる知ってる、
と返ってくる。




沙耶がオレンジジュースを口に流し込み、それを最後に私たちは店を後にした。



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