甘々ストロベリー*。
「――男子の立候補者はいないのな」
先生の呼びかけに、やっと意識が戻る感覚。
あれっ。私、今何考えてたっけ。
記憶を手繰り寄せ、思い浮かぶのは永瀬くんの横顔。
もう一度、隣をちらりと盗み見る。
「……っ、」
ドクン、と心臓が大きく跳ねた。
思いがけず目が合って、動揺している自分がいた。
透き通った綺麗な瞳。
相手もまさか目が合うとは思っていなかったのか、少しだけ目を見開き、動揺の色が垣間見えた。
「じゃあ次ー、――」
――――――……
そうして係りは決まっていき、
結局永瀬くんと目が合うことはなく
(というかそれ以降一部始終窓の外を眺めていた)、
残り物の学習委員に強制決定されていた。
永瀬くんと同じ係りになる“予感”が外れ、なんだかおもしろくないような気分だった。