恋愛遊戯【完】
てっきり、背中を押されて帰るように促されるものだと思っていましたもの。
帰れゴリラ森に帰れむしろ土に還れ、くらいは言われるものと思っていましたもの。
ナツメの声で脳内再生余裕だ。
……あたしへの扱い! 不憫、あたし超不憫……!
と自分の妄想の中で涙を拭く真似をしたところで、それは自分の妄想であって現実のナツメは悪くないと気付いた。
「俺、もうすぐ練習終わるから、それまで待ってろよ」
「えっ、なんで?」
「……もう暗いだろうが、外が」
「……えっ、なに? もしかして送ってくれるとかそういうん? えっ、どうしたの! 気持ち悪いよ!?」
「勘違いしないでくれますー? 誰も宮内の心配なんかしてませんー。暗いと“俺が”襲われるかもしれねえだろ。家の方向は一緒だしー。用心棒はお前の方だアホ」
「うわあ、ムカつくうー。けどナツメのこと襲える生き物なんて雪男くらいしかいないと思いまーす」
「お前ならゴジラにも負けないと思いまーす」
「あたしだってゴジラには負けるわアホ」
「だな、じゃ、30分後玄関集合な」
「え」