恋愛遊戯【完】
……でもそうだよね。ナツメは顔だけはいいからそれなりにモテるし。あたしもそれは分かってたけど。
もしあいつに彼女なんかできたら、今と同じ風には過ごせなくなるんだろうな。
――ていうかむしろ、今もあたしに話さないだけで、彼女がいる可能性もあるよね。
それを少し寂しい、なんて思ってる自分に気付いて動揺する。
理由もなく、意味のわからない焦燥感に駆られている感じがした。
――そうか。あたしはナツメと気兼ねなく話せている今を、それなりに楽しいと思っていたんだ。
きゃっきゃと楽しそうに会話する二人も、顧問から集合がかかると慌てて話を止めて輪に加わっていった。
やがて少しして、ありがとうございました! と運動部独特の掛け声で本日の部活は締められたようだ。
だけど1年生はまだ少し片付けが残っているらしく、体育館ステージ横の準備室にナツメは入っていく。
……玄関で待ってよう、と、あたしも体育館を後にした。