指輪にまつわるエトセトラ
モニター画面には、私と彼が一緒に過ごしてきた時間が次々と映し出されている。
デートのたびに、コツコツと撮り貯めてきたものだ。
「…そうです。もうずっと一緒にいる、とても大切な人です。」
小さな子供が泣いている。
ああ、懐かしいな。
手を離した風船が、木に引っかかっちゃって。
「……どこが、イイの?失礼ながら、一見うだつのあがらない男に見えるけど…」
ふわり
七色の風船が、青い空に吸い込まれるように舞いあがる。
高く、高く。
昇っていったカラフルな球は太陽を通過し、やがて小さな点になる。
子供の泣き声が音量を増した。
ああ、そうだ。
彼ったら、取ってあげようとして…木の枝を揺すったんだったわ。
オロオロする彼。
ギャンギャン泣く子供。
――…まったく、ドジなんだから。
クスクス、
緊張の糸が緩んで、思わず顔が綻んだ。