指輪にまつわるエトセトラ
「―…どうしたら良いと思います?」
ああ、想像しただけで頬が緩んでしまう。
からかうような視線を送ると、不可解な表情が返ってきた。
「…何が、」
「このフィルムの、エンディング。
このまま、最後にテロップ(文字)を載せるか。それとも、上映後、直接、言葉で伝えるか。
でもやっぱり、大切なことはちゃんと目を見て、口で伝えたいですよね…―。
一生に一度のことだから。」
”一生に一度”を強調した私の意図に
どうやら、気付いてくれた様子。
「山岡……もしかしてこの映像…」
「……ハイ、そうなんデス。」
照れながら、肯定。
佐久間さん、ゴメンね。
――――…
”ぼ、ぼ、僕と結婚してください!”
そうなのだ。
つい3日前。
照れながら、汗をいっぱい流して、彼がようやくそう言ってくれたから。
”返事は、今度のデートで”と答えて
今日は休日返上で、朝からせっせとお返事のビデオレターを制作していたという訳。
ミニシアターの一室を借りて、ふたりだけの上映会、なんて。
ちょっとロマンチック過ぎたかな。彼、泣いちゃうかも。いや、絶対泣くなぁ。でもこーゆーこと、してみたかったんだもの。
いつも沢山の愛情をもらってきたから。このくらいのサプライズを用意したって、イイよね。