手すり向こうの楽園へ
雨は止まない。
流れて地面に染み込むように、私も土に還りたい気持ちになった。
じゃりが背中に当たり痛い。――こんなことで痛いと言ってはいけないが、無傷な体ではそれすらも“痛いんだ”。
「……」
奴の姿はない。
よく探してみようかとも思ったが、眼球に落ちた水滴で視界を無くす。これでは無理かと、私は仰向けのまま雨ざらし状態となった。
ほんと、染み込まないかなぁ。とか考えていれば、私の真横に誰かが膝を折った。
あの苛つく奴かと思ったが、あいつは膝を地につける真似はしないかと該当者の選択肢を変える。
視界不良の私の世界は歪んでいたが、その人――彼女が持つ綺麗な髪の色はよく分かった。