手すり向こうの楽園へ
「ごめん」
泣かせてしまって。
「ごめん」
心配かけさせて。
「ごめん……」
あなたがそんなになっても。
「ごめ、ん……」
私はまた繰り返すだろうから。
いっそ、この腕を離せば、彼女も楽なのに。“未遂を繰り返す私”なんかとの付き合いなんか、毎回これだ。
なのに、彼女は腕を離さない。
それでも、私は彼女を突き放せない。
どちらとも甘かった。
彼女は私に、私は私に。責められるとなれば私、だから私は私を責めた。
手すり向こうに楽園があると、私の目の前で笑っていったあの人のように。
そんなことを信じる自身などいなくなってしまえと、いなくなった人のように。