海と桜の奏 ~Pure・Harmony~
ずっとイスに座って黙りこくってたオレの目線に合わせて、桐生が膝を折った。


「どうしたの?ボーーーッとしちゃって」


「あ……ああ!ごめんな!ちょっと考え事してた………」


別の所に飛んでた意識を引き戻し、時計を確認。


オレも桐生も帰宅部だし、もうそろそろ帰らなきゃマズイかも。


「桐生、もう帰るか?」


カバンを持ち上げて扉を示すと、コクンと頷く桐生。


第2音楽室を出て、“1人で帰る”と言い張る桐生を言いくるめ、鍵を職員室に返してから一緒に外に出た。


グラウンドで、野球部がせっせとランニングしている。
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