海と桜の奏 ~Pure・Harmony~
壁に寄りかかってオレの演奏を聴いていた黒木屋先生。


「オーオーオー!お前なんか急激に成長したな!先生ビックリだ!!」


力強く背中を叩かれて、ケホッと咳き込んだ。


ピアノ教室の講師の黒木屋先生にも、褒めて貰えた。


それで充分なのかもしれないけど……肝心なオレが1番感想を聞きたい人が、さっきから黙りだ。


「――――桐生?オレの演奏どうだった?」


オレは周りを取り囲む虎や俊哉達の輪から抜け出し、ポツンと佇んでいた桐生に問いかけた。


「………」


ずっと無言の桐生の顔は、俯いていてよく見えない。
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