海と桜の奏 ~Pure・Harmony~
苦しくて泣き止みたいのに、泣き止めない。


アイが私の頭を、軽く撫でた。


「海?どうしたの?お腹痛いの?」


「ち……がう……」


「じゃあどうしたんですか?怖い虫でも出ましたか?」


隣でワタワタしている小梅の問いかけにも、首を横に振る。


一旦アイから離れて、呼吸を整えた。


「音楽祭…………出たくない」


「「―――ハッ!?」」


見事にハモって驚きを露にする、アイと小梅。


その時授業開始のチャイムが鳴り響いたけれど、誰も教室には行かなかった。


「な、なんで音楽祭、出たくないなんて……?」
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