海と桜の奏 ~Pure・Harmony~
アイと顔を見合わせ、戸惑いの声を漏らす小梅の顔が、よく見えない。


ポタポタと、トイレの床に、私の涙の雫が落ちてゆく。


「怖い……卓磨…君に……迷惑…かけたくない……」


途切れ途切れに伝えると、2人はハッと何かを察した様だった。


卓磨君の音楽祭の誘いを受けて、2週間。


今更になって、 耐え難い程の恐怖感が、私にのし掛かって来た。


「嫌だ……」


―――…この時の私は、自分の事しか考えられなくなってて………


大事なものとそうじゃないものの区別が、つかなくなっていた。


ごめんなさい…“皆”――――…
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