海と桜の奏 ~Pure・Harmony~
「お兄ちゃん、クシ貸してあげるから、きちんととかしなよ」


そう言ってポーチから折り畳み式のクシを取り出したのは…………氷翌だった。


「だからなんでお前また来てんだよ!帰れよ!」


氷翌の隣には、オレの姉もいる。


姉さんはいいよ?海の歌のコーチしてくれてるんだから、いても全然不思議じゃ無い。


だけど氷翌はただ海の歌声聴きたいっつー理由で黒木屋家に来るもんだから、オレは困っていたんだ。


“他の中学に通っているから音楽祭本番は見られない!せめて練習は見させて!”


コレ…もう両手じゃ数え切れない位言われた気ぃする。
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