海と桜の奏 ~Pure・Harmony~
ジンワリ溢れる冷や汗を、グイッと拭い取る。


「海――――…オレの話、聞いてくれるか?」


姿勢を正して、キッチリと海を見据えた。


心臓がドキドキバクバクいって、息苦しさがピーク。


何も言わずに海にオレの言いたい事が伝わったらどんなに楽かと思う。


だけどしっかり伝えなければと、勇気を振り絞ったのに―――――…


「あっ……待って卓磨君。先に私が話してもいいかなぁ………?」


遠慮がちだけど、真剣な眼差しの海にこう言われた。


「んあ?あ…ああ。もちろんいいよ」


何だよ……さらば、オレの決意。
< 385 / 403 >

この作品をシェア

pagetop