海と桜の奏 ~Pure・Harmony~
ふと、穏やかなメロディーが特徴的な曲が目に止まった。


「なんかこの曲……桐生みたいだな」


「えっ?何か言った?」


台所にいた母親がクルリと振り返った。


「何でもない」


楽譜をピアノに立て掛け、鍵盤に指を置いた。


さて………楽しむか。


―――ポーン♪―――


リビングいっぱいに、オレのピアノの音色が流れる。


鍵盤の上で指を動かしてると、イライラやハラハラが無くなる。


マジでピアノは、オレの最高の癒しだった。


「卓磨また上手くなったんじゃない?」


お褒めの言葉と共に、シチューのいい香り。
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