海と桜の奏 ~Pure・Harmony~
小指を離すと、桐生は嬉しそうにニッコリと笑った。


「また桜土君のピアノ聴けるなんて嬉しいな……それじゃあ桜土君、私の家すぐそこだから、じゃあね……」


パタパタと走り去ってゆく桐生の後ろ姿には、天使の羽が生えている様に見えた。


「カワイッ………」


天使みたいな外見に中身に、歌声。


本当に天使って言葉がピッタリくるけど――――…桐生の名前は“海”だ。


“空”じゃなくて“海”だったら………天使じゃない。


アイツは―――そうだ。


「“人魚”の歌声を持つ美少女か…………」


この方が似合ってるかもしれない。
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