さよなら、…ありがとう

「じゃ、またね」
「うん」


希咲と別れて、クラスへ向かう。
歩くごとに気が滅入ってきた。

鬱になっていたら、いつのまにか教室の手前まで来ていた。
少し深呼吸をして、教室のドアを開けた。

ガラッと音が鳴る。
同時に、教室がしんと静まった。
…居心地悪いなぁ。

ちらっと見て、自分の席に向かう。


「みっちゃん、おはよー！」
「おはよーミスキ」
「…おはよう」


瀬良口静菜(ｾﾗｸﾞﾁ ｼｽﾞﾅ)ちゃん。
最初に挨拶してきた。
わたしを学校で唯一“みっちゃん”と呼ぶ子だ。
わたしも彼女を“しーちゃん”と呼んでいる。


寺谷槙(ﾃﾗﾀﾆ ﾏｷ)。
しーちゃんの後ろに座っている子で、その次に挨拶してきた。
部活が一緒だったので、仲は良い方だ。
…最近は、そう思いたくなくなってきた。