あだしちぎり
episode1
一回目のコールで電話は繋がる
「はい。お相手の暗証番号をどうぞ」
「3Q5AD8Yや」
「お名前を」
「茂弥」
機械的な声に桂茂弥は馴れた口調で答えた
「確認とれました。お繋ぎします」
「おおきに」
「もしもしぃ、しげ??」
しばらくの間があって携帯越しに聞き慣れた声が届いた
「なんや寝とったんか?」
「ん~平気。遅くまで映画見てただけだから」
「そーか。やったら今日いけるか?」
「ん、いいよ。一時間あれば行ける」
「6時過ぎにいつもの店でどうや?」
「分かった。じゃあね」
ぷつん。と切れた携帯を数秒みつめて、一時間半ほど時間を潰すため、街へと足を踏み込んだ。