あだしちぎり
「いらっしゃいませ。お一人様ですか?」
「待ち合わせなんですけど...」
店員に答える客の声に茂弥は目を上げた。
サキ。と呼びかけて手を上げる
店員にミルクティーを注文して
美咲は茂弥のむかいに座った。
「お待たせ」
「突然やし無理かと思ったわ」
「今、名刺持ってる人少ないから」
美咲は肩をすくめた。
金髪に関西弁が似合う茂弥と長い黒髪の日本人形のような美咲が一緒にいる様はまるで童話の世界のようで
周囲から集めている視線を二人は慣れたもので気にすらせずにたわいもない会話を交わす。
紅茶はすぐに運ばれてきて、まだ熱いそれに美咲は口をつけた。