明日目が覚めたら
サ-ブルにとって、

王子という身分は魅力を感じないものなのだろう。

母親を苦しめている父親。

身分違いで叶わない恋。

豊かになりたいという国民の思いを叶えたい。

王子としての責任感もあるのだろうか

それらが、彼を突き動かしているのだろう。


ウルルは、ぼんやりとサ-ブルについて考えていた。

自分と同じ年齢の王子。


本来優しい人間なんだろうと思う。

冷たい言葉を浴びせている時も、

事情を話そうとしている時も、

常に彼は辛そうな表情だった。

ウルルを囚われの身だと言いながらも鍵もかけず、

口止めもせず次女を置いていくあたりも、

詰めが甘いと言えばそれまでだが、彼の優しさだ。

逃げ道をわざと作っているのだろう。

逃げて騒ぎを起こすことも計算の範疇。

自分が犠牲になってでも

なにか、アクションを起こして王や兄達の出方を

待っているようにも思える。

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