明日目が覚めたら
砂漠のあちこちに、休憩できるように、

天幕が張ってある。

何もないよりは幾分かマシ程度だが日陰が嬉しい。

馬を連れて、天幕の下へ移動する。

「こんにちわ。」

先客がいた。

ウルル達以外誰もいないと思っていた。

砂漠を歩いているのが、あとにも先にも一行意外誰もいなかったからだ。


「先客がいたとは気づかず失礼しました。」

アレクが挨拶がてら詫びると、

「いえ、人が来てくださるのを待っていたのです…」

さっきまで馬たちに水を与えていたサンドラが、

先客の人のもとにやってきて、

「どこかお悪いのではありませんか?」

と尋ねた。

「はい、じつは昨日落馬してしまって、

 馬には逃げられるし、足はくじくし、さんざんです。」

困り顔でマントを外したその人は

顔に似合わない低い声だったために、

小柄な男性だと思っていたが


漆黒の長い髪をたたえた美しい女性だった。



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