明日目が覚めたら
「お可哀想に…」

ウルルを見つめながら

サンドラは言葉に出してしまった。

生まれてから城から出たこともない、

大切にされてきた姫が、

17歳になって突然外の世界に放り出された。

国賓として扱われるも、そこまでの道中、野宿したり、

ここのように粗末なベッドで休まなければならないこともある。

いつでも笑顔で、その場を楽しもうとする姫に

つい、忘れてしまいがちだが、

内心辛いと思ったことはたくさんあっただろう。

まして、アレクが去った今、心細くてたまらないに違いない。


ウルルがごろっと寝返りを打った、

サンドラがそっと布団を直すと、

「アレク…」

と呟いた。

「姫、…」

サンドラは、また切ない気分に取り憑かれた。
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