明日目が覚めたら
剣を抜き構えるサンドラに守られるように背中に隠れる。

建物の影に人の気配がするらしい。


「誰?出てきなさい!」

何かに弾かれるように男が飛び出してきた。

「うあ、悪い脅かすつもりは無くって、

 いつ出てこうかと様子を伺ってたんだけど。」


「ランス!」

それは故郷にいるはずの懐かしい顔。


「おう、姫さま無事のようだな。」


「隠れてるなんて人騒がせね、で?何の用?」


「何の用とは、酷いな、アレクの代わりに来た。」


「ランス、アレクはなんて?」


「代わりに姫様をお守りしろとしか言われてない。」


「それだけ?いつ戻るとか聞いてない?」


「イヤ?なんかやることがあるらしい、すぐどこかに行っちまったよ。」


「そう、、」


ウルルは、さみしい気持ちを隠せなかった。

ランスはサンドラの剣術の一番弟子。

ウルルと同じ歳で、アレクが一目置いている男だ。


「姫様になんて言葉遣いだ、ランスわきまえなさい。」


「師匠、固い事言いっこなしで、姫様と俺はいい仲なんで。」


「どんな仲だって言うんだ。」


「まあ色々ですよ。」


「ランス!!」


慌てて、制するウルルに、

馬鹿にしたような笑みを浮かべる。


「あれまあ、秘密でしたっけ。失礼しました。」

アレクの馬鹿、なんでよりによってランスなの。




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