明日目が覚めたら
「アレク…大丈夫なの?」


心配そうに問いかけるウルルに、

「俺を誰だと?」

にっと笑った。


再会した二人は本当に兄弟のように仲が良かった。

きっとあれが二人の本当の姿。

それを許さない大きな壁ががあるのだろう。

いつか、壁を打ち壊して、

またあんな二人に戻ってほしい。

ウルルは、切ない気持ちになった。

「なんて顔してるんだ。」

「二人共お互いのこと好きなくせに…

 さみしいじゃない。」

「感情だけでは片付けられないこともある。」

ウルルを馬車に押し込めながら、

アレクに動作が止まって、

「俺にはお前がいる。ウルル。」

そう言うとウルルにそっと口づけた。




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