オレンジ・ドロップ

 「槙村じゃない?」
   
  やっぱりそうなのかなぁ?


 「でも、槙村は2回近くになった事あるんだよ」


 「じゃぁ、荻野?」

 ってなんで1・2回席が近くになった人を把握してるの?


 「違う……と思う」

 そう、たしかに席が1回だけ近くになったのは彼だけ

 自信はないけど多分もう一人の電話の人は彼だ

 根拠はないけど


 私と恵ちゃんがこんなやり取りをしていると一つの声が飛んできた

 「和泉~、苛めんなよ~」

  えっ?

  この声を間違うはずがない

 声に反応して私も振り返る

 目に映ったのは

 笑顔の荻野くん


 「苛めてなんかないよ~」

 恵ちゃんも声を張り上げ返事をする


 私に向き直り

 「ねぇ♪」

 私は首を大きく頷く




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