オレンジ・ドロップ
「で、どんな感じの声だった?」
「私、直接話してないから解らないんだけど、お母さんは低い声って言ってたよ」
「田中boyじゃない?」
「違うと思うよ。話した事ないもの」
「聞いてみたら?」
そう言うなり、恵ちゃんは近くにいた田中君に向き
「田中boyサヤに電話した?」
「してないよ!」
膨れっ面でこたえる
そうだと思ったけど
そこまで膨れっ面にならなくても……
再び私に顔を戻す恵ちゃん
「やっぱり違うみたいだね」
「うん」
「まぁ、あんまり気にする事ないんじゃない?」
「そうだね」
その後はここ事を口にする事はなかった
何故この時こんなに気にかかったのか?
自分でもよく分からない
それを知るのは何日か後の事