オレンジ・ドロップ

 『もしもし……ごめんね? 彼女悪気はないんだと思うけど、ちょっとお節介なんだ』

  かなりでしょ!!

 「はぁ……」

  どうでもいいよそんな事


 『もうすぐ卒業だし、最後に一回くらい会ってもらえないかなぁ』

  名乗ってもないないのに?


 「会う気はないです」


 『どうして?』

 タイミングがいいのか悪いのか

   ドタドタドタ……

 なんか足音がいっぱい



 『マキ~あがるぞ~!』

 電話の向こうで声が飛んでる

  えっ?

  加藤……くん?

 『ダメだよ! 今サヤと話してんだから』


 『すげー!マキ。サヤと付き合ってんの!?』


 『いいからあっち行けよ!』


 『ちょっと代わって!』


 『もしもし、サヤ? 加藤だけど。』


 「うん」


 『槙村と付き合ってんの?』

  やっぱり槙村だったんだ


 「付き合ってないよ」


 『オレにも代わって』


 『もしもし。サヤ、藤森だけど、いつから付き合ってんの?』


 「付き合ってないよ」

  名前だって今知ったんだし

  もう嫌だ!!

 それから私は何も言えなくなった 

 二人が交互に色々聞いてくる

 ずっと黙っていた 

 というか、どう説明していいか分からなくなっていたから




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