オレンジ・ドロップ
 
   ドンッ

 誰かにぶつかった。

「あっ、すいません」 

「あっ、悪りぃ」

「サヤ~大丈夫? よそ見してるからだよ」

 オウちゃんが心配そうに覗き込んできた。
 
「あれ? 荻野くんたちも来てたんだぁ」

 紀ちゃんも、彼等に気が付いて挨拶を交わしていた。


「よぉ!お前らもか♪」

「この子は“サヤ”昔東京にいたんだよ。今は別の所にいるんだけどね」

 紀ちゃんの言葉に、私は軽く会釈だけした。


「そっか。じゃな」

 彼らはそれだけ言うと去っていった。 

 多分これが、彼との初対面 

 この時、何故か気になったのを覚えている。

 後に再会するとも思ってなかったからあまり深くは気にしてなかったけど。

 うん、間違いない、今目の前にいる荻野くんは夏祭りの人だ。

 荻野くんだって覚えていないよね?
 
 一瞬の事だったし、私だって今思い出したんだもの。





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